行政代執行という強硬手段の後に残されるのは、見違えるように綺麗になった土地と、気の遠くなるような額の請求書です。ゴミ屋敷の所有者がこの費用をどのように弁済していくのかという現実は、非常に厳しいものです。まず、請求書には納付期限が定められており、一括払いが原則です。しかし、数百万から一千万近い金額を即座に支払える人は稀です。支払いが滞れば、翌日から延滞金が発生し、借金は雪だるま式に増えていきます。自治体は回収のために、まず所有者の収入状況を調査します。厚生年金や給与がある場合は、生活に最低限必要な額を除いて差し押さえが行われます。また、銀行口座が特定されれば、残高が強制的に引き落とされます。最も深刻なのは、唯一の財産である「家」そのものに対する差し押さえです。行政代執行の費用を回収するために、自治体は不動産を差し押さえ、競売(公売)にかけます。家の中にあった思い入れのある品々はすでにゴミとして処分され、今度は住む場所さえも失うことになるのです。もし公売にかけても清掃費用が完済できない場合、残った負債はその後も所有者を追い続けます。このような過酷な取り立てが行われるのは、行政代執行にかかった費用が「公費」であるため、自治体の担当者に勝手な免除や減額の権限がないからです。分割払いが認められるケースもありますが、それには非常に厳しい審査と、確実な履行が求められます。また、所有者が高齢で認知症などを患っている場合でも、成年後見人が選任されていれば、後見人を通じて資産から費用が徴収されます。ゴミ屋敷を放置し、行政の警告を無視し続けた代償は、単なる片付け代の支払いでは済みません。ゴミ屋敷の問題は単なる清掃の問題ではなく、心のケアと密接に関わっています。ぬいぐるみを適切に整理することは、自分自身の内面を見つめ直し、健やかな自己を取り戻すためのセラピー的なプロセスでもあるのです。行政代執行は、物理的なゴミを取り去る一方で、その後の人生に消えない負債の傷跡を残す、冷徹な手続きなのです。
行政代執行を受けたゴミ屋敷の所有者が直面する費用弁済の現実