ゴミ屋敷を一つ解消するために、どれほどの人員と機材、そしてお金が動くのか、その具体的な数字を想像したことがあるでしょうか。行政代執行の現場は、まさに小規模な建設工事のような様相を呈します。まず人件費についてですが、ゴミ屋敷の清掃には、通常の廃棄物収集員とは別に、現場監督、分別専門スタッフ、消毒作業員、そして搬出をサポートする補助員など、多岐にわたる専門職が必要です。一軒のゴミ屋敷に対し、一日あたり二十人から三十人が投入されることもあります。一人当たりの日当を三万円と仮定しても、それだけで一日九十万円です。これが三日続けば、人件費だけで二百七十万円に達します。次に処分費用です。家庭ゴミの収集日に出せば無料、あるいは安価な指定ゴミ袋代だけで済みますが、行政代執行で一度に運び出される数トン、数十トンのゴミは「事業系一般廃棄物」として扱われることが多く、処理施設に支払う手数料は一キログラムあたり数十円から百円程度かかります。十トンのゴミがあれば、それだけで百万円の処分費です。ここにトラックの燃料代や車両レンタル代が加わります。さらに、害虫駆除のための強力な薬剤散布や、ゴミに埋もれていた汚物による床や壁の汚染を処理する特殊清掃費用も加算されることがあります。こうした費用の積み上げにより、最終的な総額は五百万、八百万、時には一千万を超えるのです。行政はこの膨大な総額を、すべて「実施費用」としてあなたに請求します。自治体の予算は一円単位で管理されているため、一円の負けもありません。この金額を、銀行のローンなしで、かつ人生の途中で支払わなければならない重みを考えてみてください。行政代執行の費用が高くなるのは、それが「最も贅沢な片付け方」だからではなく、「最も確実で、責任を伴う片付け方」だからです。その責任のすべてが、ゴミを溜め込んだ本人の肩にのしかかります。これほどの金額を支払うくらいなら、今のうちに少しずつでも、自分の手でゴミを減らしていくことが、どれほど賢明な投資であるかは言うまでもありません。
ゴミ屋敷の行政代執行で発生する人件費や処分費用の膨大な総額