自分の家がゴミ屋敷化していると自覚しつつも、どこから手をつけていいか分からず放置してしまう人は少なくありません。しかし、その放置が招く最悪の結果が「行政代執行」なのであり、そこにかかる費用は民間の清掃相場の数倍に膨らむ可能性があります。行政代執行の恐ろしさは、所有者の経済状況を一切考慮せずに清掃が完遂され、その請求書だけが一方的に届く点にあります。一般的に、ゴミ屋敷の清掃を民間の専門業者に依頼した場合、間取りやゴミの密度にもよりますが、数十万円から百万円程度で収まるケースが大半です。業者はリサイクル可能な家電や金属を買い取って費用を相殺したり、依頼主の予算に応じて作業範囲を調整したりする融通が利きます。一方で、行政代執行では「地域の安全確保」が目的であるため、再利用可能なものの仕分けや売却といった手間は省かれ、すべてが「廃棄物」として機械的に処分されることが一般的です。その結果、処分コストが最大化し、作業員の特別手当や警備員の配置費用、行政職員の立ち会い人件費なども含まれるため、請求額が五百万円を超えた事例も報告されています。このような事態を避けるためには、まず自治体から届く「勧告」や「命令」の重みを理解することが不可欠です。行政は決して、ある日突然家に押し入ってゴミを捨てることはありません。まずは話し合いの場を設け、自発的な改善を促します。この段階で、自治体が提携している清掃支援制度や、福祉的なアプローチを利用することができれば、行政代執行という強硬手段を回避し、費用負担も現実的な範囲に抑えることができます。もし自力での支払いが困難であっても、分割払いの相談に乗ってくれる民間業者は多いですが、行政代執行の費用は一括納付が原則であり、滞納には延滞金が発生することもあります。ゴミ屋敷を放置することは、物理的な不衛生だけでなく、将来的な莫大な負債を抱え込むことに他ならないのです。
行政代執行を避けるために知っておくべきゴミ屋敷の清掃費用