若く活動的な二十代、30代の夫婦であっても、ゴミ屋敷の罠は至る所に潜んでいます。特に、共にキャリアを重視する高学歴・高収入な「パワーカップル」ほど、その落とし穴に落ちやすいという側面があります。日中は企業の最前線で激務をこなし、精神的なエネルギーを使い果たして帰宅する彼らにとって、家は単なる「寝るための場所」に成り下がります。食事はすべて外食か出前、洗濯物はクリーニングか乾燥機付き洗濯機に頼り切り。一見効率的な生活のようですが、一度「ゴミを分別して出す」という小さな習慣が途切れると、その歪みは一気に拡大します。段ボール箱やプラスチック容器が玄関に積み上がり、忙しさを理由に後回しにしているうちに、それらは風景の一部となり、脳がゴミとして認識しなくなる「汚部屋への順応」が始まります。夫婦共に完璧主義である場合、中途半端に片付けることを嫌い、「時間ができたら一気にやろう」と決意しますが、その時間は永遠に訪れません。気がつけば、クローゼットからは服が溢れ出し、高級なマンションの内装は埃と不用品で見えなくなってしまいます。夫は妻がやるべきだと思い、妻は夫が手伝わないことに苛立つ。このような無言の責任転嫁が、夫婦の間に冷たい溝を作ります。彼らがゴミ屋敷から脱出するために得た教訓は、非常にシンプルですが強力でした。それは「自分たちのキャパシティを超えていることを認める」ことと「家事をサービスとして購入する」ことです。数回にわたるプロの清掃を経て、彼らは週に一度の家事代行サービスを契約しました。自分たちで完璧を目指すのをやめ、プロの力を借りて清潔さを維持することを選択したのです。また、モノを所有することへの執着を捨て、必要最小限のモノで暮らすミニマリズムの考え方を取り入れました。ゴミ屋敷という経験は、彼らにとって「時間」と「空間」の本当の価値を教える授業となりました。多忙な現代において、夫婦が健やかに過ごすためには、部屋の状態を整えることが精神的な健康を維持するための最も重要な投資であることを、彼らは身をもって学んだのです。