自分の親がいつまでも元気で自立した生活を送ってほしい。それは全ての子供が抱く願いでしょう。しかし高齢化は誰にでも訪れます。そしてそれは時にゴミ屋敷という悲しい形で現れることがあります。大切な親がゴミ屋敷の住人となってしまうという最悪の事態を未然に防ぐために、子供世代として元気なうちからできること、そしてしておくべきことは何なのでしょうか。最も重要でそして基本的なことは親とのコミュニケーションを密にすることです。離れて暮らしていても電話やビデオ通話などで定期的に顔を見て話をしましょう。その際ただ「元気?」と聞くだけでなく、「最近何か困っていることはない?」「ゴミ出し大変じゃない?」といった具体的な生活に関する質問を投げかけることが大切です。これにより親の生活能力の変化のサインを早期に察知することに繋がります。次に帰省した際にはただ歓談するだけでなく、「一緒に少しだけ家の片付けをしない?」と提案してみましょう。「大掃除」と意気込む必要はありません。「押し入れのこの一段だけ整理しようか」「賞味期限切れの食品がないか冷蔵庫をチェックしよう」。そんな小さな共同作業が物を溜め込まない良いきっかけとなります。その際親が大切にしている物や捨てたがらない物の背景にある思い出話をじっくりと聞いてあげることも重要です。また親が元気なうちに将来のことについて話し合っておくことも不可欠です。介護が必要になったらどうしたいか。家の財産管理はどうするか。そしてもし自分で家の管理ができなくなった時のために、地域の「地域包括支援センター」の連絡先などを一緒に確認し、いざという時の相談先を共有しておくのです。さらに親が地域社会から孤立しないよう地域の老人会や趣味のサークルへの参加を促すことも有効な予防策です。親を一人の自立した大人として尊重しつつも、子供として常に緩やかに見守り関わり続けること。その温かい距離感が親の尊厳ある老後を支えゴミ屋敷という悲劇を遠ざける何よりの力となるのです。